温泉や青い海、世界文化遺産の熊野古道が通ることでも知られる観光の町・白浜町に、原発から出る核のゴミを置く計画(中間貯蔵施設の建設計画)がうわさされています。
かつて紀伊半島には和歌山県に5ヶ所、三重県に4ヶ所、原発の建設計画がありましたが、それらを全て拒んできた歴史があります。
現在、稼働している原発は全国でわずかに3基。
この計画がささやかれているのは、昨年11月に関西電力の社長が「2018年には中間貯蔵施設の計画地を示す」と発表したからです。
それは、大飯原発の再稼働の条件として、核のごみを県外に持ち出すことを要求していた福井県知事に答えた形です。
現状、行き場のない核のごみは原発内の貯蔵プールにたまり続けています。
核のごみは強力な放射線を放っていて、10万年という気の遠くなるような年数に渡って生命環境から隔離しなければならず、人類が手を焼いているもの。
今回、計画地と予想されている白浜町の日置(ひき)は、30年前に原発計画を拒んだ地です。原発計画地だった土地は関西電力がそのまま持っており、そして最近になって、その近くの日置川の河口の東側(名立)を広い範囲で購入したので、そこが計画地になるのではないかと言われています。
中間貯蔵施設とは、最終処分場に移す前の仮置き場という位置づけですが、日本には最終処分場がありません。
世界でも唯一フィンランドだけが、何億年も動いていないとされる岩盤を掘って地層処分を試みているところです。プレート(地球の表面を覆う岩盤)の境界付近に位置する日本列島は世界でも有数の火山活動と地震の多発地帯で、地盤が脆く、どこを掘っても地下水が出るので、どこにも最終処分場はつくれないと思います。
中間貯蔵とは名ばかりで、行き場のない核のごみはずっと置かれることになるかもしれません。
紀伊半島は南海トラフ巨大地震の想定震源域に入っていて、マグニチュード8~9級の地震が30年以内に起こる確率が70~80%と政府の地震調査委員会が発表しているので、核のごみを置くには最も不適な場所の一つではないでしょうか。
核のごみをどこでどう管理するのかは真剣に考えるべき問題ですが、その前に、『もう原発を動かさず、核のごみを増やさないこと』が大前提だと思います。
これまでも処理できない核のごみを生み出す原発は「トイレのないマンション」と言われてきました。僕は一つ前の記事に書いた「地球と繋がるトイレ」の道を選択します。自然と調和して、いのちを生かし合う未来につづく道……
幸いにして熊野にはそのビジョンを描ける道があると思います。
「世界文化遺産となった熊野古道」
熊野は、いにしえから八百万(やおよろず)の神々の住処として崇められてきた地。
熊野古道は、核のごみの計画地とささやかれている場所のすぐ脇を通っています。
あなたやわたし、人類がどの道を進むのか、熊野の神様たちも見守っているでしょう。
映画「カンタ!ティモール」の中で、アレックスが唄っていたのを思い出します。
「ねえ みんな ねえ 大人たち 僕らのあやまちを大地は見ているよ」
「小さな者達を 言葉が惑わす 大きな者を追って 踏み外しちゃいけない」
「足は大地についている もう指導者はいらない」
「この体も 魂も 大地の子 マウベレ」
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