11月12日、神戸で開かれた市民集会「フクシマから考える暮らしの安全」(弁護士会主催)に参加してきました。映像は今中哲二さん(京都大学原子炉実験所・助教)の講演です。
今中さんはチェルノブイリに何度も足を運ばれ、日本で事故が起きたらどうなるかという警告を発し続けてこられた不屈の研究者です。
ご自身が広島出身(被爆2世)ということもあり、中国電力(本社:広島)が建設しようとしている山口県の上関原発には特に憂慮されています。上関でお会いしてから久しぶりの再会だったので嬉しかったです。いろいろと質問もさせてもらいました。
今の自分の最大の関心事は福島原発事故による健康影響についてです。
今中さんは、福島原発は最悪の事故だけれども、チェルノブイリよりは相手をしやすいと指摘します。
チェルノブイリの場合は原子炉が爆発し、核燃料の放射性物質がそのままの組成で外に出て行った。そのため、ヨウ素やセシウムの他にプルトニウムやストロンチウムなどによる被曝も考えなければならない。
福島の場合は、核燃料メルトダウンにより、揮発性のヨウ素やセシウムなどが出て行ったが、幸いプルトニウムやストロンチウムはほとんど残っている。これからの被曝については主にセシウムについて考えれば良いだろうとのこと。
セシウムがストロンチウムやプルトニウムより相手をしやすいというのはガンマ線を出すので測りやすく、体内に取り込んだ場合でも100日ぐらいで半分になるから。
<食品500ベクレル・避難20ミリシーベルトについて>
政府は(セシウムで)500ベクレル以下の食品を安全と言うが、安全な基準というものはなく、要はどこまでガマンするかということ。そして、500ベクレルは明らかに汚染食品だという。
今中さんは「自分は還暦を回っているので、福島で食べさせてもらえるなら、50~100ぐらいであれば気にせず食べる。子供の場合は難しいが、10ベクレル以下だったら、東電の恨み言をいいながら食べさせるか」と。しかし、最終的には、ご自分で判断して決めてくださいとおっしゃっていました。
避難の基準の20ミリシーベルトについてはどうか。チェルノブイリの場合、ソ連政府はずっと汚染を隠していたが、3年経ってから大変な汚染が広がっていることが判明。住民や自治政府との綱引きの末、ソ連崩壊後(チェルノブイリから5年後)、ロシア・ベラルーシ・ウクライナの各国が法律で決めたのが、以下の基準「避難の義務=5ミリシーベルト」「避難の権利=1ミリシーベルト」である。
前回の記事「福島とチェルノブイリ5年後の避難基準の比較」も参考にしてください。
「美浜の会」より
最後に、今中さんの挨拶より。
「本当に我々の世の中が原発を必要とするかどうかは、全部止めてみりゃスッキリ分かると思います。とにかく一度止めるように皆さんがんばってみましょう」
今中さん出演など関連動画↓
●その日のあとで ~フクシマとチェルノブイリの今~(MBS 2011/6/26)
●ネットワ―クで作る放射能汚染地図(NHK 2011/5/16)
●なぜ警告を続けるのか~京大原子炉実験所・“異端”の研究者たち(MBS 2008/10/20)
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きりんちゃん (火曜日, 15 11月 2011 00:36)
東条さん 理性的で抑制の効いた今中先生のお話をアップしてくださってありがとうございます。とても参考になりました。お疲れ様です。