ジュゴンの里とスナメリの里

そう言えば、沖縄・名護市で、辺野古への米軍基地の移設に反対する市長が当選しましたね!
ここ上関にも辺野古から応援に来てくれた人がいました。
その人から話を聞いて初めて身近に感じることができました。
そして「辺野古の米軍基地」「上関の原発」と内容は違うけど、問題の構図はかなり似ていると思いました。それは単純に言ってしまうと、

迷惑施設だけど誘致すると莫大なお金が入ってくるということ。

祝島で映画を撮っている纐纈あやさんのブログに↓
「経産省も、迷惑施設という認識がある上で、その押しつけをカネで解決しようとすること自体が、おおいなる不合理、ムダ以外のなにものでもない」とありました。同感です。

そのお金は、人と人とのつながりを断ち切り、人と自然とのつながりを断ち切る。

辺野古でも、上関でも、ばら撒かれるお金によって、近所の人たち、親戚や家族に至るまで賛成/反対に分断させられています。
そして、破壊されようとしているのは「ジュゴンの里」と「スナメリの里」

辺野古で基地を受け入れる見返りといて、名護市を含む北部12市長村に10年間で1000億円が交付されるようですね。
上関でも原発を受け入れると、もともと税収が2億円ぐらいの町なんですが、そんなところに500億円も入ってきます。(NHKスペシャル「原発に揺れる町」より)

賛成する理由が単純にお金だけではないとも思いますが、そういう構図は確かに見て取れます。

上関の柏原町長は「原子力を、財源を求める手法の一つとして扱っている。電力の安定供給やエネルギー政策は国や電力会社が考えることで、あくまで暮らしの財源を確保するための手段だと理解してもらいたい」と語っています。

お金のためにと言うのは分かりやすいですが、多くの大切なものが抜け落ちるでしょう。
お金をもらわなくても反対している人たちの思いや、原発がもたらす様々な影響(温排水や核のゴミ)のこと。
それでは、「しっかり聞いて」「住みよさ日本一」という山口県の掲げるスローガンも虚ろに響きます。

また、ニュースを見る限り、名護市では、もらったお金を使っても一般の人の暮らしはあまり良くなっていないように見えますが…。
上関でも、すでに相当のお金が町に入っているようですが、過疎化に歯止めはかかっていないようです。町の人に原発が来ると雇用が生まれるかと聞くと、働ける人は限られていて、儲けるのは大手の会社だけだという答えもありました。

こんな言葉を聞いたことがあります。
「人に無償でお金を与えることは、その人を物乞いにさせることだ」と。
魚をあげるよりも魚の獲り方を教えてあげないとその人は自立して生きられないように、地域も同じで、原発に依存して自立ができなくなってしまうのではないでしょうか。

なにはともあれ、名護市で民意が反映されたのは喜ばしいことです。
もともと97年の住民投票で市民が反対を選んだのに、市長が勝手に受け入れを決めたんですね。その後も、市民は反対だけど市長は推進という状況が続いていたようです。

こちらでも2月14日に上関町の町議選が行われます。
上関町の投票率はどれくらいだと思いますか?
なんと90%を越えるようです。日本一高いんじゃないでしょうか?
やっぱり自分の生活に直接関わっていると感じるからだと思います。

PS.1月29日、祝島で漁業補償金を受け取るかどうかの総会が開かれ、受け取らないことを再度決議しました!!
「供託中の漁業補償金の引出しについて、反対多数で否決」(祝島島民の会ブログ

最後に、むかし祝島にあったという看板に書いていた「上関原発音頭」を紹介します。
(那須さんの本「中電さん、さようなら」にも載っています)


上関原発音頭

1 町長選挙で五拾万 旅行にさそって一万円
  チラシを配って五千円 名前を貸すだけ一万円
  印かん集めりゃ金と酒 これじゃ働く者がバカ
  原発推進ヨヨイのヨイ

2 放射能やら黒い霧 まみれた金をフトコロに
  チケットもろうてはしご酒 飲む打つ買うで有頂天
  バーやキャバレー温泉と ゆるんだバンドも新品に
  これぞこの世の極楽じゃ 女房子供も何のその
  原発様々ヨヨイのヨイ

3 悪銭身につくわけがない 夜を日に次いで遊ぶうち
  気付いた時はもうおそい サギに横領 サラ金と
  きのうの友も今日は敵 女房子供にゃ見捨てられ  
  親子の縁も断ちきって 故郷をすてて雲隠れ
  原発クワバラヨヨイのヨイ

4 オシャカ様さえ言い残す 金より命が大事だと
  人間ほろびて町が在り 魚が死んで海があり
  それでも原発欲しいなら 東京 京都 大阪と
  おエライさんの住む町に 原発ドンドン立てりゃよい
  ここは孫子に残す町 原発いらないヨヨイのヨイ
  反対反対ヨヨイのヨイ

 

祝福(いのり)の海」

 

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